氷鴨が止まらないBLOG
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暇人なので『スカボロー・フェア/詠唱』を訳してみた
B00005ML9DParsley Sage Rosemary and Thyme
SIMON & GARFUNKEL
SONY 2001-08-23

by G-Tools

スカボローの市(いち)に行くのかい?
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム……
そこに住んでる、とある人によろしく伝えて欲しい
かつて僕の恋人だったひとに

雪をかぶった茶色いブランケットやベッドリネンに
スズメがつけた痕跡のような
わずかな緑だけが残る森の奥深くの丘の斜面の上で
山の子はラッパの音にも気づかず眠る


彼女に伝えてくれ
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム……
縫い目も針仕事もなしで
僕に寒冷紗のシャツを作るように
そしたら僕たちやり直せるって

木々の葉もまばらな丘の斜面で
澄んだ涙が墓を洗う
兵士は銃を手入れして磨き
ラッパの音にも気づかず眠る


彼女に伝えてくれ
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム……
海水と海岸の間に
僕に1エーカーの土地を見つけるように
そしたら僕たちやり直せるって

戦争は緋色の大隊に燃えるように轟き
将軍たちは兵士たちに殺し、戦うよう命じる
とっくの昔に忘れた理由のために


彼女に伝えてくれ
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム……
革の鎌で刈り入れたものを
すべてヘザーの房に集めて入れるように
そしたら僕たちやり直せるって


<訳者あとがき>
というわけで、暇人なので訳してみたシリーズ第8弾は、
サイモン&ガーファンクルの『スカボロー・フェア/詠唱』です。

まず、驚いたのは『スカボロー・フェア』という題名ではなく、
『スカボロー・フェア/詠唱』だったということでしょうか。

原題は『Scarborough Fair/Canticle』で、
「Canticle」を辞書で引くと「賛美歌」と出て来るんですけど、
日本語的には邦題の「詠唱」の方がしっくり来る気がします。

「呪文を詠唱した!」とか言う時のあの「詠唱」です。

じゃあなんで『スカボロー・フェア/詠唱』などという題名がつけられているのかというと、
実は歌詞が「スカボロー・フェア」部分と「詠唱」部分の二つから成り立っているからです。

「スカボロー・フェア」は元々イングランドで歌い継がれてきたバラッド(民謡)が元になっていて、
そこにポール・サイモン自身の書いた「詠唱」を挟み込むような形になっています。

曲自体を聴いてもらうのが一番わかりやすいですが、
私の訳詞ではイタリックで記した部分が「詠唱」です。

「スカボロー・フェア」の方は、
スカボローの市(いち)に行くという人に
男が昔の恋人に伝言を頼むという形になっています。

しかしその伝言というのが、
「縫い目も針仕事もなしでシャツを縫え」とか、
「海水と海岸の間に1エーカーの土地を見つけて来い」とか、
竹取物語的な無理難題ばかりです。

「どうしてもおまえともう一度やり直したいんだ!」というよりは、
「おまえがそうまでしてやり直そうってゆうなら、次は俺たちうまくいくかもな」ぐらいの勢いでしょうか。

いずれにせよ、本気でやり直したがっているようには思えません。

次に「詠唱」の方ですが、
こちらは当時行われていたベトナム戦争に対する反戦的な歌詞になっており、
基本的には「スカボロー・フェア」の方とは全く関係のない内容になっています。

しかし、曲自体の悲しげなメロディーには、
意外にも「スカボロー・フェア」の詞よりも「詠唱」の詞の内容の方がマッチしているようにも感じます。

また、敢えて強引に解釈を試みるならば、
「スカボロー・フェア」のふざけた男がその後戦争に駆り出されて戦死し、
そのことを伝え聞いた昔の恋人がひとり涙する――と読めないこともありません。
(時系列が少しおかしいですが。)

まあ、受け取り手次第といったところでしょうか。

続いて、細かい内容に触れていきます。

何度か登場する「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム……」という言葉ですが、
どうもこれはおまじない的につぶやいているだけで、
これといった意味はないようです。

前後の文脈との断裂を際立たせるため、
訳の中では敢えて緑色にしてみました。

なお、パセリもセージもローズマリーもタイムも全てハーブの一種です。

(観葉)ハーブ苗 タイム(品種おまかせ) 3号(1ポット) 家庭菜園 本州・四国限定[生体]
B00U5TMVEY


ちなみに『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』は、
『スカボロー・フェア/詠唱』が収録されているアルバムのタイトルにもなっています。

寒冷紗(cambric)」というのは、
畑で植物の日よけなどにも使われる、
目の粗い布のことだそうです。

訳していて大変だったのは、「詠唱」の一番目と三番目の
「On the side of a hill in the deep forest green
Tracing of sparrow on snow-crested brown
Blankets and bedclothes the child of the mountain
Sleeps unaware of the clarion call」のところと、
「War bellows blazing in scarlet battalions」
のところです。

後者は「戦争は緋色の大隊に燃えるように轟き」と訳しましたが、
正直なんのことだかよくわかりません(笑)

まあ、詩なのでニュアンスということでひとつ。

前者の方は、実は以下のような文章の構造ではないかと考えました。
(自信なし。)

On the side of a hill in the deep forest
(which is) green tracing of sparrow on snow-crested brown blankets and bedclothes
the child of the mountain sleeps unaware of the clarion call

この「木々(=緑)がまばらにしか生えていない森の奥の丘の上」というモチーフは、
二番目の「詠唱」の一行目でも
「木々の葉もまばらな丘の斜面で」
と、繰り返し出て来ます。

これは実はナパームや枯葉剤が使われたベトナムの森を暗示しているのではないかと思うのですが、
この歌の発表時点でそれらのことが既に社会問題になっていたのかどうかは、
ちょっと不明です。


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